冬装備の全身をメルカリで包んだメルカリアンの初級者Sです。3週間前に行った広河原沢の見晴らしルンゼを再訪しました。
会の先輩から「こないだアイスに数人で行ってたけど、どういう繋がりの人たちなの?」と聞かれましたが、個人山行で行っているのはクライミングジムで一緒に練習させていただいているメンバーの方々です。
山岳会に所属しながら、こうして個人的な繋がりで山行に行くことも、もちろん可能です。
私はジムメンバーの中で桁違いに登れないのですが、親切なみなさんのおかげで沢登りやアイスクライミングをご一緒させていただいています。今回はワイルドHさんと、Yさんと一緒に、広河原沢の見晴らしルンゼに行くことに。Hさんは広河原沢の左俣にすでに3回目来ており、Yさんは初めてです。おふたりとも、見晴らしルンゼは初。
都合上、行ったばかりの私はルート案内をするのが唯一のお役目です。
しかし、「連れて行ってもらった」山行というのは、とても記憶が曖昧です。以前お世話になった方が、「沢の記憶は曖昧だから、細かく記録をつけるといい」とおっしゃっていましたが、本当にその通りだなぁと思いました。
今回、踏み跡が薄いのがうすら不安になったのですが、それもそのはず、降雪のあとで、随所ラッセルでありました…しかも高温でF 1の釜が凍っておらず、高巻きを強いられることに…
2080の二股さえ間違えなければ、特に道迷いの要素はないので、地形図と高度計、GPSをみながら進みます。
Yさんは、事前にちゃんと概念図を描いており、ルートはもちろん、どの滝でどこに支点をどう取るか、特徴まで書き込んでありました。
一方のわたくしは、二俣を北東に進んでからの風景に「こんなだったかな?」という不安が襲います。記録の写真も確認していたのですが、いろいろ思い違いに気がつきます。どれだけボーっとしていたのか…
ふぅふぅいいながら、2時間歩いてなんとか見晴らしルンゼに到着。今回はロープを背負って歩くことができました。
私はリードができないので、お二人が登って支点を作って引き上げてくださいます。
まずは2の滝からですが、下部は雪でほぼ埋まっているので、フリーで。
本当なら1ピッチ目の終了点にあたるところは、雪で倒木も埋まっていました。
前回はこうだったのですが、雪で埋まっており、倒木の周りを掘って懸垂支点をとりました。
ワイルドHさんリード
支点は、前回私が怯えたところの手前の根っこを使っていました。足場があるので前回ほど怖くはなく、ほっ。
続いて、左となりのF 3へ。
Yさんの概念図に書いてあった通りのラッセルでした。
バフバフひーこらいいながら移動して、Yさんがリードです。上部が立っていて難しそう…と言ったら、Yさんが「近づいてみるとそうでもなかったりするんですよ」と。
下に行ってみると、たしかに遠目で見たほどはそんなに立ってないのですが、それにしたって、すでに登攀開始位置が高いのと、上部が私にはやはり少し難しめでした。
登攀開始位置がすでに高い
Yさんはこのくらいのところはもう自分で「大丈夫」と思えるのだそうです。さすがです。
Yさんのすごいところは、登攀能力はもちろんのこと、確信が持てるちゃんとした安全管理能力と、知識、判断力と下準備です。見習うことばかり。
F4を登って終わりにしようということで、F3からF4へトラバースします。こういうところも、地味に怖いのですが、藪岩マスターのHさんが先導してくださいます。
F3は雪に包まれてしまい、変わり果てた姿になっていました。登攀意欲もあまりそそられないでしょうに、Hさんがリードしてくれます。
F4はS代表は奥の氷壁に支点を作っていましたが、Hさんは手前の左の木に支点をとりました。
S代表は奥の氷壁まで進んで支点をとっていました。
懸垂時のロープの連結について、オーバーハンドノットのあと末端をどうするかを、前回塾長さんがS代表に確認のために聞いていたので、私もYさんに聞いてみました。答えは必要な長さを出してオーバハンドノット→片側ロープを止め結び→締め直し。S代表の答えと同じでした。連結するロープの径が異なる場合は、細い方を止め結びにするのだそうです。
今回は終日、我々だけだったのですが、思えば、みんな見晴らしルンゼはこうして雪に埋まると知っていたのかもしれませんね。
薮岩に強いHさんのおかげで、トラバースや高巻きも先導、サポートしていただき、怪我なく無事に帰ってくることができました。
F1の釜の高巻き
今年はアイスクライミングを集中してやってみましたが、今の所の見立てとしては、アイスはとても自由だけれど、難易度と危険度の高いアクティビティだなぁと思います。
冬の自然環境はそれだけで過酷で、もともと持っている技術知識経験が求められるのはもちろん、厳しい環境下で判断実行するメンタルの強さや、技術の安定が求められます。私には、難しいかも…
帰りは
もみの湯に立ち寄り、すでにバキバキの体をリフレッシュして、八ヶ岳サービスエリアのネルドリップコーヒーに癒されながら帰宅しました。
Hさん、Yさん、お二人にとってはゆるふわかき氷アイスクライミングかもしれませんが、私にとってはとても良い経験になりました。ありがとうございました◎
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